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学習コラム
高校受験の作文でよく出るテーマや、書き方のポイント・注意点などを解説!
2024.04.12
高校受験において、作文は受験生が自らの思考や感情を表現し、その個性や意欲を伝える重要な位置づけになっています。しかし、出題されたテーマの書き方に悩むことも少なくありません。この記事では、高校受験で出題される作文のテーマや書き方のポイント・注意点などに焦点を当て、高校受験に臨む受験生やそのサポートをする保護者の皆様にとって、役立つ情報をお届けします。
目次
高校受験の作文とは?
高校受験の「作文」とは一体どういったものなのか、作文の目的は一体何なのか、まずはこれらについて解説します。
「作文」と「小論文」の違い
「作文」とよく似たものとして「小論文」があります。しかし、「作文」と「小論文」は似ているようで、実は性質が大きく異なります。
小論文は、あるテーマや問題について自分の意見や考えを理由や根拠とともに論理的に述べるものです。一方で作文は、与えられたテーマについて自分の心情や感想について、具体的な体験や想像力を利かせて読み手に共感を与えるように書くことが求められます。
小論文より作文を書く方が簡単なんじゃないかと考える受験生も多いかもしれません。
しかし、読み手に評価される作文を書こうとなると、よっぽどの文才を持ち合わせてない限りはいきなり書くことは難しいでしょう。ある程度日ごろから作文を書く訓練・練習が必要です。
高校受験で作文を課すことの狙い
高校受験で作文を課すことの狙いは「書き手が一体どのような人物なのかを把握すること」です。受験生の人となりは学力検査では読み取ることができません。受験生がこれまでどんな経験をしてきて、何を感じ、思ったのか、どのようなものの見方や考え方をしているのかなどについて、作文を通じて把握します。
よって、自由に書くのではなく、自分の主体性や思いやり、協調性などのプラスにアピールできる面を文章に散りばめながら考えて書くことが重要になります。
また、作文を通じてその受験生の基礎学力や表現力も見られます。日ごろから正確で丁寧な文章を書くように心がけるようにしましょう。
高校受験での作文の出題形式
高校受験の作文は、主に4つの出題形式に分かれる傾向があります。
ここではそれぞれの出題形式について解説します。
➀与えられたテーマに基づいて書く
出題されたテーマに沿って自分の考えを書きます。このパターンの場合、受験生の人柄や考え方を知ることが狙いです。自分の考えや思いを素直に書くようにしましょう。
②自分の立場を決めて書く
新聞やニュースで話題になっていることなどについて、意見や理由を書きます。読み手を納得させられるよう、筋道を立てて考えを述べる必要があります。
③文章を読み、自分の意見を書く
文章を読み取って、そこに書かれている内容に基づいて自分の意見を書きます。指示された文章をいかに正確に読み取り、それに関連して自分の意見をきちんと伝える表現力が求められます。
④資料を読み取って書く
資料やグラフなどのデータから読み取れる事実をまとめて、そこに対して自分の考えを書きます。データとなる資料を正確に読み取り、論理的に考えを示す力が求められます。
高校受験で作文を書く際に気を付けるべきポイント
この記事の冒頭でも触れたとおり、高校受験において、作文は受験生の個性や表現力を評価する重要な要素の一つです。しかし、実際どのように書けばよいのか、内容や表現方法に悩むこともあるでしょう。ここでは、受験生が作文を書く際に気を付けるべきいくつかのポイントについて解説します。
➀語彙力をつける
与えられた文章を読み取り、そして表現するには豊富な語彙力が求められます。テーマによっては、難しそうな経済用語等の専門用語を含む出題もあれば、抽象的な言葉を扱うような出題も過去にありました。
また、他の受験生と比べて高く評価してもらえる作文を書こうと思うと、物事に対して深く幅広く説明する力も必要となるでしょう。語彙力をつけるために、まずは日頃からさまざまな本や情報に触れ、知識と一緒に蓄えていくことをおすすめします。
②日ごろの情報収集を怠らない
作文のテーマ次第では、今まで自分が考えたこともないような内容が出題されることがあるかもしれません。限られた試験時間の中で、初めて目にするテーマに対して十分に考えたうえで必要な文字数を書くことは決して簡単なことではないでしょう。常日頃から情報に対する感度を高く持ち、様々な情報についての予備知識を持つようにしておくことをおすすめします。
③とにかく作文を書く練習をし、添削してもらう
作文は1~2回程度書いただけでは、良いものを書けるようにはなりません。1つのテーマであれば、最低3回ぐらいは何度も繰り返すことでやっと書けるようになるでしょう。「良い作文を書くには、そもそも時間がかかるもの」という前提を踏まえてしっかりと対策をすることが重要です。対策の1つとして、過去問練習があります。過去に出題されたテーマを確認し、実際に本番と同じ制限時間で書いてみることをおすすめします。過去5年分くらいの過去問を入手して練習すれば、志望校の出題傾向の特徴もつかむことができるでしょう。
また自分が書いた作文は、担任や国語科、進路指導の先生や塾講師などに必ず添削をしてもらい、書き直すようにしましょう。先生に作文内容を見てもらうことで、自分だけでは気付けなかった表現話法の誤りや不整合などが出てくるものです。1つずつ丁寧に直し、より正確で完成度の高い作文を書けるように努めましょう。
④原稿用紙の使い方を覚える
作文で評価されるのは、必ずしも文章の内容だけではありません。学校によっては、原稿用紙を正しく使えているかどうかも評価しています。原稿用紙の使い方を知り、自信を持って文章を書きましょう。基本的に、原稿用紙は以下のルールで使います。
- タイトル:読み手の興味を引き、内容を一言で表したものにすること(タイトルを書く指示がある場合に限る)。また、タイトルの前は1マス空けること。
- かぎ括弧:会話を示す場合に「 」で囲んで記述すること。
- 改行:原則として、段落の最後にきた場合に改行を入れること。段落とは、文章をまとまりに区切るもので、話題が変わるときは必ず段落を変えること。
- 字下げ:「書き始め」と「段落の最初」は1文字マスを空けて書くこと。
- 誤字脱字などに注意:誤字や脱字、漢字の間違いが多いと採点に影響するため、最後に必ず読み直してチェックをすること。
- 句読点やかぎ括弧は一マス使用:句読点(、。)やかぎ括弧は1マス使うこと。ただし行の先頭になる場合は前の行の最後の文字と一緒に1マスにすること。
⑤最低でも制限文字数の8~9割は書く
高校受験の作文課題は「○○〇字以内」や「○○〇字程度」、「○○〇~○○〇字の間で」などといった文字数制限が設けられていることがほとんどです。文字数に指示があった場合はその文字数以内に収めるのが当たり前なのですが、逆に少なすぎてもいけません。
そのため、少なくとも制限文字数の8割は書くことを心がけ、できれば9割以上にまとめるようにしましょう。もし指定された文字数をオーバーしそうな場合は、不要な部分や似たようなことを言っている表現がないかどうか見直し、簡潔にまとめるとよいでしょう。
⑥文章に書きだす前に構成を考える
「文字数が全く足りなさすぎて伝えたいことが書ききれなかった」「結論まで書いたのに文字数が全然足りない、まずい・・」このようなことが高校受験本番で起こらないように、あらかじめ作文を書き始める前に必ず構成を作ることを心がけましょう。
もし小論文であれば、「序論・本論・結論」の3段落構成に分け、それぞれの部分でどのような内容を書くか、指定の文字数に対してどのくらいの文字数で書けばいいかをまずはざっくりと考えることをおすすめします。そうすることで自分が伝えたいことを漏れなく書くことができ、読みやすくてバランスの良い作文ができあがります。
- 序論:問われていることに対して自分の答えを明確に提示する。
- 本論:序論で提示した内容を、具体的な経験や自分の考えなどを交えて説明する。
- 結論:テーマに沿って、自分のこれからの目標や決意などを書く。
高校受験の作文・小論文課題でよく出るテーマの紹介
高校受験で課される作文・小論文において、よく出るテーマは大きく7つあります。ここでは7つそれぞれのテーマについて解説します。
➀中学校で頑張ったこと・この高校で頑張りたいこと
このテーマは多くの高校でよく課される傾向にあります。率直な自分の気持ちを記載し、ありのままの自分をアピールするような作文を作るようにしましょう。なお、「高校で頑張りたいこと」についてはただ頑張りたいことを述べるだけでなく、「なぜそう思っているのか」「この先どうなりたいのか」といった具体的な根拠や将来の展望もあわせて記載すると、より高く評価してもらえる作文になります。
②将来の夢
高校生活での学びを踏まえた将来の夢や展望をテーマに出題されるケースもあります。志望校で学べる内容や個性を話題の起点とすることが求められるため、事前に志望校の特徴についてしっかりと情報収集しておくことをおすすめします。
また、将来の夢は専門科や職業科を設置している高校でよく出題される傾向にあります。志望理由も交えながら、自身の正直な気持ちを書くと良いでしょう。
③身近なテーマ
学校などの身近な場所におけるテーマは、書きやすい一方で、注意点として他の受験生の作文との差別化が難しいものです。誰でも書けるようなありきたりな内容ではなく、自分ならではの視点を踏まえながら書いてみましょう。
また、書きやすさの点から、書く内容がテーマの主旨と乖離しないよう注意することが大事です。問題文をよく読んで、論じるべき点を明確にしてから考え始めるようにしましょう。
④社会問題や時事問題
小論文ではかなり頻出度の高いテーマです。それは学校や家庭などの私たちの身近な社会にある問題から、政治・経済、国際問題などさまざまなテーマで出題されます。
まずは問題文を丁寧に読み、「何が問われているのか」「何を論じるべきなのか」を正しく理解してから書くようにしましょう。自分の経験や身近な具体例なども盛り込むようにすると文章が書きやすくなります。
⑤国際的な問題
グローバルな問題に関するテーマも数多く出題されています。社会、文化、政治、経済などさまざまなテーマを国際的に論じたものが多い傾向にあります。
そのため、日頃からニュースや新聞などで情報収集をしておくことをおすすめします。
また、難しいテーマや用語には注釈が付く場合もあるので、テーマや問題文は注釈まで丁寧に読むようにしましょう。
⑥自然科学
このテーマは理数科や工業科などでよく出題される傾向にあります。また、考察する問題が多いため、与えられた資料や図表などの情報を正確に読み解くことが求められます。
作文は100~120字程度とコンパクトにまとめて書くように指示されることが多いです。不要な記述は極力削って、要点を押さえつつシンプルに書けるよう練習しておくことをおすすめします。
⑦文化や芸術
文化的、または芸術的なテーマで出題する高校もあります。新聞やエッセイ、小説などが課題文として与えられ、それを踏まえて持論を述べさせる形式が多いです。問題文と課題文をよく読み、論じる必要がある点は何なのか、適切に見つけるようにしましょう。なお、このテーマは大学入試でもよく出題されるため、大学の過去問を練習題材として取り上げることもおすすめします。
実際に出題されたテーマ・課題の紹介
ここでは、実際の高校受験で出題された作文・小論文のテーマ・課題についていくつか紹介します。
二松學舍大附属高校(平成25年度)
「あなたが学校生活に期待していることは何ですか。また、そのことに対してどのように取組もうと考えていますか。」(400字・制限時間40分)
正則高校(平成28年度)
「中学校生活で成長した点と、これからの高校生活で改善すべき点」(400~600字・制限時間50分)
東京都立大崎高等学校(令和2年度)
「AIの進歩により今後多くの職業が無くなると言われているが、AIが代わることのできない人間の能力は何だと思うか。また、その能力を身に付けるため高校でどのようなことに取り組むか。具体的に書きなさい。」(540~600字・制限時間50分)
東京都立大森高等学校(令和3年度)
「将来働くことを通じて、人や社会のために自分の力をどのように役立てるかを具体的に
書き、そのために3年間どのように過ごそうと思っているかも記述しなさい。」(570~600字・制限時間50分)
東京都立戸山高校(令和5年度)
小問1「資料を使って、東京都の人口増加率及び人口構成の特徴を、秋田県及び全国と比較しながら説明する。」(150~160字)
小問2「資料を使って、東京都内に位置する二つの地域の人口増加率及び人口構成の特徴と、そこから発生すると考えられる村落や都市の問題について、説明する。」(150~160字)
小問3「文章中の下線部を参考に、図表から読み取れることを、原子番号の大小の違いとその理由とともに、説明する。」(150~200字)
※小問1~3トータルで制限時間50分
東京都立工芸高校(令和5年度)
「あなたの将来の夢は何ですか。そのために工芸高校の希望する学科(第1希望)で、どのような活動や取り組みをしていきたいですか。あなたが考える内容を具体的に書きなさい。」(540~600字・制限時間50分)
東京都立城東高校(令和5年度)
「「学ぶことは、自分自身をつくり変えることである。」という言葉がある。自分の体験を例に挙げ、この言葉についてのあなたの考えを述べよ。」(540~600字・制限時間50分)
まとめ
いかがだったでしょうか。ここでは、高校受験での作文の出題形式や書き方のポイント、よく出るテーマや実際に出題されたテーマ・課題について紹介・解説しました。ここで解説した内容は、これから高校受験で作文を書く際の基礎情報として頭にインプットしておいてほしいのですが、大事なことは「とにかく実際に作文を書き、添削をしてもらう。添削を受けたらそれに沿って書き直す。」そしてこの一連の行動を繰り返し、量をこなすことだと考えます。
しかしその一方で、制限時間内に書き上げるためにはやはり日頃からの練習は欠かせません。自分のペースで対策をし、高校受験当日までに自信をもって作文が書けるよう、取り組んでみてください。