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学習コラム
【高校受験・国語】長文読解で得点を伸ばすコツ|記述問題の対策法も
2024.04.18
目次
はじめに|高校受験国語の長文読解に必要な力
・「長文読解の点数が伸びない。」
・「記述問題が書けない。」
・「長文読解の勉強法がわからない。」
高校受験を控えた皆さんは、国語の長文読解でこんな悩みをお持ちではありませんか。
国語の長文読解では、多くの受験生が勘で解いて間違えたり、時間が足りず解き切れなかったりしています。
この記事では、中学校・高等学校での指導経験のある筆者が、高校受験国語の長文読解のコツを解説します。
高校受験国語の長文読解に必要な力は、実はたった1つです。
それは「はじめて読む文章を限られた時間で読み解く力」です。
これは、定期テストとの大きな違いです。定期テストでは、授業で扱った文章が出題されるので、意味のわからない語句は事前に調べられますし、文章をある程度理解した状態でテストに臨みます。しかし、入試本番ではそうはいきません。
はじめて読む文章を限られた時間で読み解くには、いくつかのコツがあります。
ここでは、高校受験国語の長文読解で得点を伸ばしたい中学生に、以下のコツを紹介します。
・高校受験国語の出題の傾向と対策
・説明的文章の読解のコツ
・文学的文章の読解のコツ
・読む速度を上げるコツ
・記述問題で得点を伸ばすコツ
・長文読解攻略のための勉強法
長文読解のコツを身につけ、正しい勉強法を実践すれば、長文読解が得意になるでしょう。ぜひ参考にしてください。
高校受験国語の出題の傾向と対策
受験校によって試験問題は異なりますが、高校入試の出題分野は「漢字・語句・文法」「説明的文章」「文学的文章」「古文または漢文」「作文または小論文」であることがほとんどです。まずは、過去問を解き、出題の傾向を探りましょう。
長文読解では、以下の視点で過去問を分析すると、出題の傾向がつかめ、はじめて読む文章でも焦らずに読解できるようになります。
・長文読解の文章量はどれくらいか
・どんな分野の文章が出題されているか
・設問は何問か
・設問の内訳(抜き出し問題、記述問題、正誤判定問題、空欄補充問題など)はどうなっているのか
・記述問題の解答字数は何文字か
「説明的文章」「文学的文章」の長文読解は高校入試では高配点です。それぞれの文章の特徴と読解のコツを理解して、長文読解で得点を伸ばしましょう。
説明的文章
説明的文章は、あるテーマについて論述し、理由や根拠を示しながら、筆者が意見を提示する文章です。事実や現象を説明する「説明文」や、テーマについて筆者の考えを述べる「論説文」があります。説明的文章では、テーマを把握し、筆者の主張を読み取ることが求められます。
高校受験国語の説明的文章でよく出題されるテーマは、「相互理解・コミュニケーションのあり方」「文化・文明」「共同体・言語」「芸術」「思想・宗教」です。
文学的文章
文学的文章には「小説」や「随筆」があり、「詩歌」も文学的文章に含む場合があります。高校入試では「小説」の出題が多く見られます。「小説」は登場人物が架空の設定・出来事の中で生きる様子を描いた文章、「随筆」は筆者の体験や見聞をもとに意見・感想を自由な形式で書いた文章を指します。
高校受験国語の文学的文章でよく出題されるテーマは、「学校生活や部活動を通した成長」「家族や身近な人とのかかわりを通した変化」です。
【説明的文章】読解の3つのコツ
文章は何となく読んでも頭に入ってきませんが、何を読み取るのかを意識して読むと短時間で内容が理解できます。以下に、説明的文章の読解の3つのコツを紹介します。
①主題(テーマ)をつかむ
説明的文章では、まず「主題(テーマ)」をつかみます。主題をつかむには、以下に注目しましょう。
・読者への「問いかけ」
・本文中に何度も出てくる言葉
主題は、本文中では「問いかけ」と「答え」の形で提示されます。
例えば、本文中に「みなさんは人生についてどう考えていますか。」と問いかけがあれば、それは「人生」が主題であることを示しています。
また、本文中に何度も出てくる言葉は、筆者の伝えたい内容と深く関わるので、印をつけるなどして、主題をつかむ参考にしましょう。
②筆者の主張を読み取る
説明的文章の読解では、筆者の主張を読み取ることが最も重要です。設問も筆者の主張に関するものが多く出題されます。筆者の主張を読み取るには、以下を参考にしましょう。
・「問いかけ」に対する「答え」
・筆者の考えが強調されている表現「最も大切なことは~・~こそ必要である・~しなければならない」
・逆接の接続語「しかし・けれども・だが」
・意見をまとめる言葉「つまり・このように・すなわち・要するに」
本文中に「問いかけ」があれば、その「答え」が筆者の主張です。文章全体の「問いかけ」と「答え」を意識して読み進めましょう。また、筆者が伝えたい事柄は、逆接の接続語や意見をまとめる言葉の後に書かれます。これらの言葉が出てきたら印をつけ、筆者の主張を読み取る参考にしましょう。
③「対比」に注目する
説明的文章で、筆者の主張の読み取りをスムーズにしてくれるのが「対比」です。「対比」は、筆者の主張をわかりやすく伝えるために用いられるものなので、「対比」に注目すると筆者の主張をより正確に理解できます。「対比」では以下の構造がよく出題されます。
・ 過去 / 現在
・ 日本 / 欧米
・ 自然 / 科学
・ 筆者の意見 / 一般論
例えば、「これまでは〇〇だったが、〈これからは□□が求められる時代になる。〉」など、対比関係にある事柄のどちらか片方を〈 〉で囲むなどすると、文章の構造が見えやすくなります。
【文学的文章】読解の3つのコツ
次に文学的文章の読解のコツを紹介します。文学的文章でやってしまいがちなのは、文章に入り込みすぎて登場人物の気持ちを勝手に想像してしまうことです。本文と一定の距離を保って読むために、次の3つのコツを意識しましょう。
①場面、登場人物を把握する
まず、「いつ」「どこで」「だれが」「何をする」話かを把握します。
文章の最初にリード文がある場合は、場面設定や登場人物がまとめられているだけでなく、出来事や登場人物の気持ちに関する情報が含まれていることもあるので参考にしましょう。そして、時間や天候、場所が変わるなど、場面の転換に注意して通読しましょう。
②「気持ちの変化」に注意する
文学的文章では、登場人物の気持ちを問うことが多いので、「気持ちの変化」に注意しましょう。本文中に気持ちや心情、考えをあらわす言葉や表現が出てきたら、誰のものでも線を引いて、設問を解くヒントにしましょう。
・気持ちを直接あらわす言葉 「喜怒哀楽に関する言葉・不安や孤独・恐怖・焦り・疑い・さみしさ・悔しさ」など
・気持ちをほのめかす表現 「浮かぬ表情(不安)」「目を見開いた(驚き)」「胸がときめいた(喜び)」など
誰のものでも「気持ち」に関係しそうな言葉や表現に印をつけましょう。そして「気持ち」を問われたら、その気持ちと関係があると思われる出来事や言動を確認しましょう。
③「気持ち」や「言動」を勝手に想像しない
登場人物の「気持ち」や「言動(しぐさ・発言・行動)」には必ず根拠があります。
例えば、本文中に「〈部活の試合で負けた=出来事〉→〈悔しい=気持ち〉→〈泣いた=言動〉」とあれば、設問では「なぜ悔しいのか。」や「なぜ泣いたのか。」が問われます。悔しい理由は「部活の試合で負けたから。」、泣いた理由は「部活の試合で負けて悔しかったから。」と答えられます。
文学的文章では〈気持ち〉が生じた理由となる〈出来事〉、また、〈言動〉に至る〈気持ち〉や〈出来事〉に注意して、論理的に読み進めましょう。
読む速度を上げる3つのコツ
高校受験の長文読解では、はじめて読むの文章を短時間で理解することが求められます。ここでは、どんな出題文にも適用できる読む速度を上げるコツを紹介します。
①「設問→本文」の順で読む
文章の読み方には「本文→設問」「設問→本文」「問題を解きながら読む」と大きく分けて3つの読み方があります。高校入試で求められるのは、限られた時間で必要な情報を読み取ることなので「設問→本文」の順で読むことをオススメします。
その際に注意してほしいのは、先に読むのは設問だけで、選択肢の文章は読まないことです。選択肢のある設問で、選択肢の文章まで読んでしまうと、本文を読む前に余計な情報が入り読解に支障が出ます。
②問われていることに印をつける
設問を読む際には、問われていることに印をつけると、何を意識して読むべきかが明確になります。
例えば、「~はなぜか。」「△△と□□との違いを説明せよ。」「◇◇を踏まえて、〇〇の心情について答えよ。」など線を引くと、読み取る内容が見やすくなります。
そして、設問と関係する傍線部の周辺まで読み進めた際に、線を引いた内容を意識して、解答に必要な情報をおさえます。
③語彙力・背景知識があると読むスピードが上がる
語彙力や背景知識が足りないと、どうしても読むのに時間がかかります。
説明的文章では、現代社会の課題を背景に出題されることがあるので、ニュースや新聞などで、社会の課題にアンテナを張りましょう。文学的文章では、気持ちや言動を表現する言葉の語彙を増やしておくと、読むスピードが上がります。
語彙力UPには、問題演習で読む文章はもちろん、日ごろの趣味で楽しむマンガやアニメ、歌詞などもよい教材になります。知らない語句が出てきたら意味を調べてみましょう。
記述問題で得点を伸ばす3つのコツ
長文読解の記述問題で「何を書いていいかわからない」「得点が伸びない」と悩む受験生も少なくありません。以下の3つのコツを実践すれば、記述問題への苦手意識が減り、得点を伸ばせるでしょう。
①解答の型を身につける
まず、記述問題の傾向を知り、解答の型を身につけましょう。
説明的文章でも文学的文章でも、「~とはどういうことか。」「~の心情を説明せよ。」の形で内容を説明させる設問と「~はなぜか。」「~はどうしてか。」の形で理由を問う設問が多く出題されます。そして、各設問では答え方も決まっています。
・内容説明:「どういうことか。」→「~こと。」と答える
・心情説明:「心情を説明せよ。」→「悲しみ・喜び・不安・焦り」など心情を説明する言葉を用いて答える
・理由:「なぜか。」「どうしてか。」→「~から。」と答える
答え方を間違えて減点されることのないようにしましょう。
②解答の下書きを必ず作る
記述問題の解答では、問題用紙の余白に、(1)解答に入れる要素を箇条書きにし、(2)文字数を確認しながら、下書きを作りましょう。わざわざ下書きするのは時間のロスにつながるように思うかもしれませんが、30字以上の記述問題になると字数以内にまとめるのは簡単ではありません。書き直しているうちに必要な情報がもれてしまうこともあります。解答の下書きを作ることで、入れるべき要素をもらさない力、そして、字数以内にまとめる力がつきます。
③何を書いていいか全くわからないときの対処法
記述問題で解答の方針が立たないときは、まず、設問を読み返し、解答の条件を再確認しましょう。
例えば、「傍線部①の〇〇とはどういうことか。△△を明らかにして、20字以上30字以内で書きなさい。」とあった場合、設問中のすべての条件を満たす解答が求められます。この際に「△△を明らかにして」などの付帯の条件は、解答の手がかりになります。
それでも書けそうにないときは、その問題は飛ばして、他の設問を解いてから再び戻ってきましょう。読解問題は文章の流れに沿って作問されており、問題相互がつながっています。他の設問が記述問題を解く助けになる場合があります。
長文読解攻略のための勉強法
ここまで読解のコツを紹介してきましたが、長文読解攻略のためには勉強法にもコツがあります。以下の勉強法を実践して長文読解を得意にしてください。
①答え合わせに時間をかける
長文読解の勉強では、問題を解くことより、答え合わせに時間をかけましょう。
・読み間違いがなかったか
・選択肢のどの部分が不正解なのか
・記述問題は「何を」「どう」書けばよかったか
答え合わせはこのような視点を持って、「なぜ正解なのか」「なぜ間違っているのか」を丁寧に確認することで、読解力が養われます。
②タイムプレッシャーをかける
試験を時間内に解き切るには、時間配分が肝心です。タイムプレッシャーをかけて読むこと、つまり、時間に追われるながら読むことに慣れましょう。
長文読解では時間をかければわかるような気がして、多くの受験生が時間を使いすぎる傾向があります。解答順(どの大問から解くか)と時間配分(それぞれの大問に何分かけるか)を自分なりに決めておき、日ごろから時間を意識して演習しましょう。
③記述問題の対策がカギ
記述問題は「問われたことに答えられているか」が採点基準となっています。よって、「設問文の条件をすべて満たすこと」を意識して書きましょう。先生に添削してもらったり、記述問題の採点基準や解説が充実している問題集で演習を重ねるのがオススメです。
最初から満点の解答を目指すのではなく、部分点を積み重ねる意識で取り組んでみましょう。まずは、書くことへの抵抗感をなくすこと、定期テストや模擬試験で×をもらっても落ち込まないことが大切です。
まとめ
高校受験国語の長文読解では、はじめて読む文章を時間内に読み解くことが求められます。
「説明的文章」「文学的文章」それぞれの読解のコツを踏まえて、問題演習を重ねることで、少しずつ「はじめて読む文章を限られた時間で読み解く力」が養われるでしょう。
長文読解が得意になりたい人は、今回の記事を参考にしながら、正しい勉強法で長文読解を攻略してください。