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学習コラム
高校受験の社会の効率がよい勉強法とは?高得点を取るための問題集の使い方を解説します
2024.04.09
限られた時間で効率よく点数を取るための高校受験社会の勉強方法とは?教科としての社会の特徴や高校入試の出題形式、暗記が苦手な方向けの勉強法についてわかりやすく解説します。
「社会は暗記が多いから苦手」
「テスト前に一生懸命覚えてもすぐ忘れてしまう」
「学校の定期テストでは点数が取れるのに、模擬試験は全然ダメ」
そのような悩みを持っている方に、ぜひ読んでほしい記事です。
暗記が苦手な人や、入試問題がなかなか解けずに困っている方にとって、入試社会の勉強方法はぜひとも知りたいのではないでしょうか。
本記事では科目としての社会科の特徴や高校受験社会の出題形式、分野別の対策方法、効率の良い暗記法、問題集の使い方などについてわかりやすく解説します。ぜひ、参考にしてください。
社会は点数を取りやすい科目
社会は他の教科と比べると点数を上げやすいとされています。その理由は2点あります。1つは暗記した分だけ点数になること、もう一つは反復練習を繰り返すことで得点できるようになることです。それぞれの内容について詳しく見てみましょう。
暗記した分だけ点数になる
社会は暗記量が多いですが、インプットした知識をアウトプットすれば正解に結びつき、得点をあげられるからです。「鎌倉幕府を開いた人物は誰ですか?」という問題に「源頼朝」と答えるだけで得点となるわけですから、点数が上がりやすいというのもうなずけます。
反復練習で得点アップ
暗記を繰り返すことで得点がアップするというのも社会の特徴の一つです。一問一答や穴埋めといったシンプルな問題であれば、反復練習の繰り返しにより短期間で得点アップすることができるでしょう。
高校受験で得点するには単純暗記だけではダメ
暗記に頼った勉強で対応できるのは試験範囲が限られている定期テストまでです。試験範囲が「鎌倉時代」と「九州・四国地方」だけであれば、その部分だけ集中的に暗記すると高得点をとれるでしょう。
しかし、入試では中学校3年分の知識が試験範囲となるため覚えるべき知識が格段に多くなります。「定期テストでは得点できても、模擬試験では得点できない」というタイプの生徒は、狭い範囲の単純暗記に慣れすぎているのかもしれません。高校入試の社会で得点するには、勉強方法を根本的に変える必要があるでしょう。
高校受験社会の出題形式
高校入試の範囲は広く、一筋縄ではいかないことは理解いただけたのではないでしょうか。では、あらためて高校受験の社会ではどのような出題されているのか、出題形式を確認します。主な出題形式は以下のとおりです。
- 一問一答・穴うめ
- 地図やグラフや図表の読み取り
- 記述問題
一問一答とは、「邪馬台国の女王は誰ですか?」というように最もシンプルに知識を問う形式です。穴うめ形式は「すべて国民は( 1 )で( 2 )的な( 3 )の生活を営む権利を有する」というように、空欄に語句を補充する形式です。こちらも比較的シンプルな形式ですが、完全解答を求められることがあるので要注意です。
グラフ問題は地理でよく出題されます。気温と降水量が記載された雨温図を示し、どの地域の雨温図か答えさせる問題や統計データを見て、データの内容と一致する文を選ばせる問題などが出題されます。こちらは暗記よりも図表の理解や情報を分析する能力が問われます。
最も差がつくのは記述問題です。「ヨーロッパ北部で行われている混合農業はどのような農業か説明しなさい」といった形式で出題されます。知識を覚えているだけではなく、文章で説明する能力も必要です。
これらのうち、最初に手を付けるべきものが一問一答や穴うめといったシンプルな出題です。これらの出題に対応できるようになるだけで、社会の点数はだいぶ安定するでしょう。
地図や図表の読み取りは地理分野で出題されることが多いため、地理の分野別対策で詳しく解説します。得点率が7~8割前後まで達したら集中的に記述問題対策を実施します。最初から記述まで完璧にしようとすると効率が悪くなるため、はじめは基本問題や情報の分析を徹底して得点率7~8割を目指しましょう。
分野別の対策
入試では社会の3つの分野に加えて時事問題が出題されます。したがって、ここでは地理・歴史・公民に加えて時事問題の対策についても詳しく説明します。
地理の勉強法
地理で最初に覚えるべきものは以下のとおりです。
・都道府県名や地域名
・主要な国名
・緯線や経線などの地球儀の基礎知識
・地図記号
これらの基本情報を最初に覚えます。次に、法則性がある情報を整理します。低緯度ほど気温が高く、高緯度ほど気温が低いことや海から離れるほど降水量が減少しやすいこと、降水量が多い季節風地域で稲作が盛んなことなど複数の情報を結び付けると効率よく暗記できます。
地理で最も大切なのは「なぜ?」と考えることです。日本で工業が盛んなのは太平洋ベルト地帯ですが、その理由の一つに太平洋を通じて資源を輸入し、製品を太平洋経由で輸出していることがあります。どうしても単純暗記しなければならない知識もありますが、関連付けられる情報をできるだけ結びつけることで暗記の負担を減らすことができます。
歴史の勉強法
歴史は地理や公民に比べて暗記量が多いため、暗記が苦手な生徒に最も敬遠される分野です。歴史で高得点を取るには「流れ」の理解が欠かせません。歴史の大きな流れの中に人物や出来事を当てはめることで、膨大な量の知識を整理整頓して得点に結びつけられます。
歴史で最初に覚えるべきことは各時代の名前と順番です。旧石器時代から始まり平成・令和に至るまでの各時代の名前を覚えましょう。「時代の名前なんか憶えても得点できない!」ということを言われたことがありますが、時代の名前は知識を整理するための箱の役割を果たします。
たとえば、以下の人物と時代を一致させることができるでしょうか。
- 聖武天皇
- 桓武天皇
- 豊臣秀吉
- 白河天皇(白河上皇)
- 後鳥羽上皇
- 後醍醐天皇
最も古いのは聖武天皇の奈良時代、次いで桓武天皇の平安時代前期、白河上皇の平安時代後期、後鳥羽上皇の鎌倉時代、後醍醐天皇の鎌倉時代、後醍醐天皇の南北朝時代、豊臣秀吉の安土桃山時代と続きます。
それぞれの時代を最初に覚えておき、人物と時代を結び付けておけば人物の前後関係を覚えることができます。もちろん、関連する年代とセットで語呂合わせをつかって暗記しても構いません。
743年:聖武天皇が墾田永年私財法で耕地の私有を認めた
794年:桓武天皇の平安遷都
1086年:白河上皇が院政を始める
1221年:承久の乱で後鳥羽上皇が破れ、隠岐に流される
1334年:後醍醐天皇が建武の新政を開始する
1590年:豊臣秀吉が天下を統一する
どちらの方法であっても構いませんので、順番をしっかりと整理することが大事です。高校入試では年代そのものはあまり出題されません。それに比べると前後関係や関連事項が出題されますので、確実に整理したいところです。
公民の勉強法
公民は言葉の意味の理解が重要な分野です。「法の下の平等」とはどのような意味なのか、「衆議院の優越」とはどのような意味なのか、言葉の意味を理解することが公民の勉強のスタートラインといってよいでしょう。
意味を理解したら一問一答式で用語を覚えていきます。それと同時に、図を使った勉強をしなければなりません。なぜなら、分野は図を使った説明が多用されるから分野だからです。
しばしば出題されるのが三権分立の図です。行政・司法・立法の三権がどのような関係にあるのかを示した図を出題し、当てはまる語句を選択させる問題などが出題されます。
最高裁判所長官を指名するのは行政、すなわち内閣の仕事です。裁判所は違憲立法審査権を持ち、国会の立法をチェックする立場にあります。国会は裁判所に対して弾劾裁判を起こすことができます。このように、3つの権力が互いをけん制しあうのが三権分立ですが、その内容を理解しているかどうか図を使って出題します。
公民で出題される図は学校で使用されるワークを使って勉強するのが効果的です。ワークにのっている図を勉強するだけでも高校入試レベルの問題にある程度対応できます。ただし、図の単純暗記に頼りすぎると思わぬところで足をすくわれるかもしれません。図の暗記の前に、公民の用語をしっかり理解して覚えておくとよいでしょう。
時事問題
近年に起きた政治や経済、社会に関する出来事を取り上げた問題を時事問題といいます。時事問題は学校の定期テストでもよく出題されますが、高校入試の問題としてもしばしば出題されます。
とはいっても、入試直前に起きた出来事を出題するのはかなり厳しいため、前年までに起きた出来事と中学社会の内容を絡めた問題が出題されます。時事問題に対応するには、常日頃からテレビや新聞などのニュースに触れておかなければなりません。
自宅で新聞を取っていないのであれば、学校や地域の図書館を活用して週に一度、新聞の見出しだけでも見ておくとよいでしょう。
効率がよい効果的な勉強方法
国語・数学・理科・英語・社会の中で最も覚える量が多いのが社会です。大量の知識を効果的に覚えるにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、社会の勉強法をいくつか紹介します。
語呂合わせによる暗記
歴史の年代暗記などで昔から使われてきたのが語呂合わせです。「なくよウグイス平安京」で794年と覚えるのは有名な語呂合わせですが、ほかにもたくさんの語呂合わせが存在します。
本能寺の変の「いちごパンツ」、平清盛の太政大臣就任の「いい胸毛」などはかなりインパクトが強く、暗記の強い味方となるでしょう。語呂合わせを使った覚え方で楽しく覚えられるのであれば、積極的に活用したいところです。
ワードツリーの活用
ワードツリー、あるいはメモリーツリーで関連する用語を結び付ける覚え方もあります。一問一答式で暗記するメリットはシンプルでわかりやすいことですが、暗記量が膨大になるというデメリットも抱えています。
ワードツリー、あるいはメモリーツリーなどと呼ばれる方法は、覚えるべき語句を関連付けて見える形にすることでおぼえやすくする方法です。
たとえば、室町時代の足利義政を中心にしたワードツリーを書くなら、後継者争い→応仁の乱→下剋上→戦国大名、銀閣→書院造→東山文化などというように関連付けをします。それを一種の絵や図のようにしてビジュアル的に覚えてしまうという方法です。
互いに絡み合う単語の関係がまるで気のように見えることから、ワードツリーやメモリーツリーと呼ばれますが、社会が苦手な人には難しく感じるかもしれません。学校の先生や塾の先生、社会が得意な友人に作ってもらって、それを覚えるという方法もよいでしょう。
マンガなどで知識をビジュアル化する
マンガをつかって文字だけの知識をビジュアル化して暗記するのも有効な勉強方法です。時代ごとの特徴をつかんだり、地理で世界各地や日本の各地域の様子を書いた漫画を読んだりすることで雰囲気をつかむという方法があります。文字情報だけを必死に暗記するよりも効率よく知識を整理できるでしょう。
動画をつかって知識を整理する
近年、動画投稿サイトで「教養系」とよばれる分野の動画を見られます。すべての動画が入試に適しているわけではありませんが、中には教科書内容をコンパクトにまとめたものもあるのでとても参考になります。
また、タブレットを使って学習するアプリなどで動画を視聴することでも勉強できます。動画投稿サイトのものよりも面白味を書くかもしれませんが、より正確な知識を得られるため入試対策として利用するならタブレット学習アプリの方がおすすめです。
図表を自分で書いて理解
社会の勉強というと覚える・暗記するといった「インプット」が重視されがちですが、得点するには覚えている知識を書き出せなければなりません。「覚えていたのに書けなかった」では得点出来ないからです。
アウトプットの手段の一つに自分で図表を書くというものがあります。先ほど例に出した三権分立図や国会の仕事、歴史の大まかな流れ、代表的な雨温図、世界地図や日本地図などを自分で書くのも効果的な勉強方法の一つです。参考書などにかかれている図の中に自分で書けそうなものがあれば、積極的に書き写して意味を理解するとよいでしょう。
勉強計画の立て方
勉強計画は高校受験の入試日から逆算して決定します。高校入試は2月中旬から3月上旬にかけて実施されることを考えると、遅くとも夏休み明けから少しずつ消化するようにスケジュールを組むのが理想的です。
部活や文化祭の時期を考慮すると遅くとも9月には受験用の社会の勉強をスタートさせた方がよいでしょう。学校の定期テストも計算に入れ、計画的に受験準備を進めるのがおすすめです。
どんな問題集で勉強するのがよい?
点数を取るにはどのような問題集で勉強すればよいのでしょうか。最初に結論を言えば、簡単な問題集からスタートして知識の「穴」を埋めつつ、入試問題に対応できる思考力を身につけるのがベストです。具体的に説明します。
シンプルな問題集でできない問題を見つけ出す
「どうせ勉強するなら、ハイレベルの問題集に取り組みたい」と思う気持ちも理解できますが、最初はできるだけ簡単な問題集を使うのがおすすめです。一問一答のようなシンプルな問題集や穴埋め形式の問題集を選び、自分の知識の穴を見つけ出すことが最優先です。
分野によっては全く覚えていないため得点できない問題もあるかもしれませんが、最初の問題集の目的は知識の穴を見つけるのが優先ですので、あまり気にせず問題を解きましょう。全部の問題を一気に解くと疲労してしまいますので、計画を立てて少しずつクリアするとよいでしょう。
できない問題だけを集中的に解く
シンプルな問題集で知識の穴を見つけ出したら、できていない部分を徹底的に反復練習します。こうした自学自習でよくみられる失敗は、覚えている問題を繰り返し説いてしまうことです。覚えている部分を繰り返しても時間の無駄になってしまいます。反復練習するのは覚えていない場所に限定するべきでしょう。
頻出問題を集めた問題集を解く
高校入試が近づいた時に使うべき問題集は出題頻度に右応じた問題集です。市販の問題集の中には「よく出る問題」にターゲットを絞ったものがありますので、そういったタイプの問題を集中的に解くことで効率よく勉強できます。
入試前に過去問演習
入試前に必ず解いてほしいのが過去問です。社会に限らず全教科の過去問は必ず解きましょう。過去問とセットで「予想問題」が付いてきますが、過去問を解いて復習した後に力試しとして使用するのがおすすめです。
まとめ
今回は高校受験の社会の勉強法を解説しました。社会は暗記すれば解けるといわれがちな科目ですが、近年は「考える力」を意識した難易度の高いものも出題されるようになっています。
かといって、基礎知識をおろそかにしてよいわけではありません。9月から12月までの時期は比較的簡単な問題集で知識の穴を埋めるのに専念し、冬休みから入試直前までの追い込み期間で頻出問題や過去問題を使って入試形式に慣れつつ、思考力を問う問題の対策をするのがベターではないでしょうか。